女性は命がけで子供を産みます 。そのため産後の体はボロボロです。
例えるなら、産後の体は交通事故の衝撃を受けたのと同じ。一説には全治8ヶ月に値するとも言われています。
普通分娩で赤ちゃんを産んだママは、見た目の傷がないため一見元気そうに見えますが、実はダメージを受けています 。
産後一か月は、ゆっくりとその身体をを休めることが必要。今回は産後の体の変化と、産後のダメージを回復させるポイントをお伝えします。
目次
産後の体とママの状態
産褥期(出産当日〜3週間)
産後の体は出産の興奮とホルモンの変化によって、産後ハイの状態です。 交感神経が高ぶることによりテンションが高い状態が起こります。 そうなると、体はボロボロなのに、眠れないなどの症状が現われます。
逆に交感神経が高ぶると産後うつになりやすいと言われています。
この時期は、赤ちゃんのお世話に徹して、ゆっくりと身体を休めることが重要。スマホやネットなど目や脳に負担のかかることは避けましょう。
体型の変化もきになるところですが、産後3週間くらいは体型戻しの運動などは禁物。この時期は出産で疲れた身体を休めることを一番に考えて。
産後1ヶ月〜3ヶ月
少しづつ赤ちゃんのお世話にも慣れてくる時期。出産で酷使した身体の痛みなども徐々にラクになってきますが、授乳の感覚が短く睡眠不足になりやすい時期でもあります。
産後ハイの状態もまだ残っているので無理をしがちですが、気づかないところで身体に負担がかかっていることも。出産後の身体の痛みはやわらぎますが、頭痛や肩こり、腰痛、腱鞘炎などの症状が出てくる人もいます。
この頃から軽い産後のエクササイズなどは開始できます。授乳中なので、産後ダイエットするにも無理な食事制限は禁物。バランスの取れた食事を心がけて。
でも、まだまだ精神的には不安定な状態です。子育てに関しては、一人で頑張らず、パパや周囲の人にサポートをお願いしていきましょう。
産後4ヶ月〜1年
そろそろ赤ちゃんとの生活リズムも整ってきて落ち着く頃です。外出などもしやすくなるので、ママ友との交流も増えます。と同時に、我が子の成長が気になったり、ママ友が余裕があるように見えて、いろんな意味で自分と他の人と比較してしまう時期でもあります。
また、赤ちゃんの成長や子育ては楽しい反面、なんとなく社会から取り残されていくように感じたり、「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれることで、自分自身の存在意義を見失うことも。
イライラや焦燥感などに悩まされる人もいます。それが原因で産後クライシスになることも。夫婦のコミュニケーションもこれまで以上に意識することが大切。
産後のママは余裕そうに見えてもみんな大変。赤ちゃんの成長も個人差があるので特に気にする必要もありません。
そして、子育ては立派な仕事です。お給料こそ出ませんが、一人の人格形成に関わっていく大変な仕事。自信を持って子育てをしましょう。
疲れたら、一人の時間も大切にして。メリハリをつけることが心のバランスを保つことにもつながります。ママの心のバランスを保つためにも、パパや周囲の協力が必要不可欠。夫婦が会話する時間も持ちましょう。
産後の体の主なダメージ
後陣痛
産後、子宮が収縮することによって後陣痛が起こります。これは体が元の状態に戻そうとするためで、子宮が収縮するたびに痛みが起こります。
初めて出産する人より、2度、3度と出産を経験した人の方が子宮が収縮するスピードが早いため、痛みが強い傾向にあります。
授乳する際も、オキシトシンというホルモンが分泌され、痛みを感じます。オキシトシンには、おっぱいを分泌する作用のほか、高陣痛を促進させる作用もあるからです。
また、自然分娩だけでなく、帝王切開の人も高陣痛はあります。ただ、帝王切開の人は、お腹を切った痛みと高陣痛と区別がつかないこともあります。
どちらの場合も、出産後1〜2日が痛みを強く感じることが多いです。
会陰切開の痛み
赤ちゃんが生まれる時、頭から出てきますが、通りやすくするために 会陰を切開します。会陰を切開することで傷口の治りが早く、綺麗だからです。
会陰切開の痛みは2〜3日はズキズキと痛みますが、退院するころには和らぐことが多く、抜糸をすると、更にラクになります。(個人差があります。)
1ヶ月検診の頃には、ほとんど痛みはなくなっているでしょう。
関節の痛み
出産後は赤ちゃんのお世話をするために、たったり座ったりを繰り返す動作が増えます。そのため膝などの関節に負担がかかりやすくなることが考えられます。
また、妊娠による体重増加も知らない間に関節へ負担をかけています。妊娠中は炎症を抑制する副腎皮質ホルモンが分泌されるので気にならなかったのが、出産後ホルモンのバランスの変化によって、痛みが表面化されるということもあります。
子育ての負担やストレスを軽減するためにも、体重減少や適度な運動を心がけましょう。
痔や便秘になりやすい
妊娠後期の体はかなりの圧力がかかることで痔になりやすいと言われています。実際私も一人目の時は大丈夫でしたが、二人目の時は年齢も重ねていたため、痔が出て困りました。
また、会陰切開後、傷口が気になりトイレに行きたいのを我慢したり、力を入れることや、水分を取ることを我慢するので、便秘になりやすいのです。
食事では根菜などの食物繊維を取ること、水分もこまめにとり、お風呂上がりのストレッチや、気分転換のお散歩など、軽い運動を心がけましょう。
乳腺炎
母乳が詰まると乳腺炎を起こします。ひどい時は熱が出ることも。お乳が詰まる原因は、脂っこい食べ物や甘いものを食べすぎるなど、食生活に偏りが出ることで起こります。
お乳が張って痛いなど、乳腺炎を疑う症状を感じたら、自分一人で解決せず、出産した産婦人科に相談しましょう。助産師産によるおっぱいマッサージで随分ラクになります。
食べ物は母乳の味にも影響するので、ママはできるだけ、和食を中心とした高タンパク低脂肪の食事を心がけましょう。
産後の体のダメージを回復するには
バランスよく栄養をとること
赤ちゃんのおっぱいのためにも高タンパク低脂肪の食事が良いと言われています。バランスの良い食事を心がけ、乳腺炎防止のためにも甘いものやコーヒーの摂取は控えましょう。
例えば、タンパク質は焼き魚やささみ、豆腐などから、調理法も焼く、蒸す、茹でるを中心に。油脂は控え、脂質は食材に含まれるものから取れると良いですね。
授乳中は赤ちゃんにおっぱいから栄養を与えているため、おやつも食事の一環と考えて。太るのを気にして食べないのではなく、フルーツや焼き芋、おまんじゅうなどの和菓子、ゼリーやプリンなど、油分の少ないものを選ぶのがベスト。
体を休めること
体の回復のためにも、産後一か月は安静にして過ごすことが重要 。安静のポイントは仰向けに寝ること。立っている時間が長いと産後の広がった骨盤に内臓が下がりやすく、ぽっこりお腹や、尿もれ、痔の原因に。
適度な運動を心がけること
産後のダメージの回復には、自分のペースでゆっくりと体を動かすことが大事です。適度な運動はあらゆる産後の痛みの軽減にもつながります。
お風呂上がりの深呼吸や簡単なマッサージ、ストレッチなどで体を解きほぐしましょう。また、気分転換に赤ちゃんとのお散歩や、赤ちゃんを抱っこして負荷をかけながらのストレッチなど、生活の中で楽しみながら行いましょう。
まとめ
見た目にはわかりませんが、産後の体は悲鳴をあげています。産後の体を酷使して疲れているにもかかわらず、興奮状態にあり産後ハイに。
交感神経が高ぶることで夜眠れない状態になります。 イライラが募り産後クライシスの原因にも。逆に副交感神経が高ぶると、産後うつになりやすいので注意が必要です。
そうならないためにも、産後一ヶ月は無理をせず体を休めることが重要。産後に身体を休めることには意味があるのです。
産後の体のダメージを回復するポイント
- バランスよく栄養を取ること
- 体を休めること
- 適度な運動を心がけること
これからの育児を元気に乗り切るためにも、産後の1ヶ月は十分身体を休めて回復への準備期間にしましょう。
今日も最後までおつきあいいただきありがとうございます。