産後の女性は幸せいっぱいというイメージがありますが、実は違っている側面もあります。確かに赤ちゃんを産むことは幸せなこと。
でも、産むことによる不安やリスクも大きく、産後、焦った気持ちになったり、不安感や感情の浮き沈みが激しくなるなどの症状がでる場合もあります。
特に、高齢出産の増加で産後うつになるリスクは高まっているのです。
と思ったあなた、よく似た産後の症状、産後クライシスと産後うつの違いについてみていきましょう。
目次
産後クライシスと産後うつ、決定的な違いとは?
産後クライシスと産後うつ、どちらもホルモンのバランスが影響されていると思われがちですが、実は違います。
じゃあ、産後クライシスと産後うつの違いって?
ホルモンバランスとの関係性
産後クライシス
産後2〜3年の間に起こりやすいと言われている産後クライシス。赤ちゃんを育てるための女性特有の本能で、ホルモンのバランスに変化があるため、イライラしやすくなったり、攻撃性が強くなるという症状。
産後ママのイライラからパパを受け入れられなくなったり、夫婦との関わりにも影響するため、女性だけではなく、夫婦の問題とも言えます。
授乳が終わる頃になると、ホルモンのバランスも整い、徐々に症状は落ち着いてくるでしょう。
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産後うつ
- 産後、赤ちゃんが可愛いと思えない
- 家事、育児に対してやる気が起きない
- 自分をダメな母親だと思ってしまう
などの症状があります。普通のうつと違って、産後うつは、焦ってイライラしたり、不安感が強いなど、日々の浮き沈みが激しく症状が変化するのが特徴。
これらの症状が2週間以上続く場合、産後うつの可能性があります。産後うつは産後、2、3ヶ月から6ヶ月くらいの間になりやすいと言われています。
産後クライシス同様、ホルモンバランスの影響と思われがちですが、産後うつは実はホルモンの影響ではなく、もともと持っているメンタル的な既往(以前うつ症状を引き起こしたことがある)や、産後の人間関係や環境の変化によって起こります。
産後のママを取り巻く環境がストレスを感じやすくなっている
例えば、昔は大家族で近所づきあいもあり、子育てで悩んでも助けてくれる人がいたり、床上げといって、産後1ヶ月はママは休息を取れる環境がありました。
しかし、今は、核家族が当たり前の時代。相談したり、家事、育児を手伝ってくれる相手も少なく、子育ての孤独に不安を感じるママも少なくない。
特に、高齢出産をした人は、産後の体力が回復しないことに加え、睡眠不足などで、疲れもたまりやすく、ストレスを感じやすいのです。
このように、昔と比べ産後の育児環境からくるストレスが多い。ですから、産後の1ヶ月はゆっくり心と身体を休めることが大事なのです。
▼産後のストレス解消法をまとめています。▼
産後うつ、不安を感じやすいのは男性の2倍
不安や抗うつの症状が出やすいのは、男性よりも女性の方が2倍出やすいと言われています。
特に産後の女性は、一般女性に比べて10〜15%出やすいとも。出産は病気ではありませんが、産後1ヶ月はゆっくりする時間を取ることには意味があるのです。
産後うつになりやすい人の特徴
- 真面目で几帳面
- 以前、うつ症状や摂食障害を起こしたことがある
- 緊急搬送や予定外の帝王切開など、状況を把握できないまま出産した
- 赤ちゃんに病気や障害がある
- 望まない妊娠
- 復職に関するトラブルがある
などがあげられます。
産後うつを改善するには
産後クライシスや、マタニティブルーズなど、ホルモンの乱れが関わる症状を改善するには、本人や周りの努力ではどうにもならない部分がありますが、産後うつは、周りの協力や理解によって軽減することは可能です。
産後うつがひどくなると、自分が産後うつかもしれないということに気づくこともできないので、周りの人が気づいてあげることも大切。
様子がおかしいな、と思ったら早見に専門家に相談を。
まずは地域の保健師さんに相談して。色々話を聞いてもらえるし、保健師さんから専門のカウンセラーさんや医療機関などを紹介してもらえます。
▼産後うつかマタニティブルーか迷ったら次の記事を参考にしてください▼
▼産後クライシスを乗り越えるために必要なこととは?▼
産後うつチェックリスト
産後うつかも?と思ったら、世界で使われている産後うつチェックリストを試してみてください。
やり方は、
- 過去7日間に感じたことに最も近い項目にチェックします。
- 必ず10項目全部に答えてください。
これらの結果が、2週間以上にわたって9点以上だと、産後うつの疑いがありますので、専門家に相談しましょう。
エジンバラ産後うつ病自己評価票
【1】笑うことができたし、物事の面白い面もわかった。
0 いつもと同様にできた。
1 あまりできなかった。
2 明らかにできなかった。
3 全くできなかった。
【2】物事を楽しみにして待った。
0 いつもと同様にできた。
1 あまりできなかった。
2 明らかにできなかった。
3 全くできなかった。
【3】物事がうまくいかなった時、自分を不必要に責めた。
3 はい、たいていそうだった。
2 はい、時々そうだった。
1 いいえ、あまり度々ではなかった。
0 いいえ、全くそうではなかった。
【4】はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配したりした。
0 いいえ、そうではなかった。
1 ほとんどそうではなかった。
2 はい、時々あった。
3 はい、しょっちゅうあった。
【5】はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた。
0 いいえ、そうではなかった。
1 ほとんどそうではなかった。
2 はい、時々あった。
3 はい、しょっちゅうあった。
【6】することがたくさんあって大変だった。
3 はい、たいてい対処できなかった。
2 はい、いつものようにうまく対処できなかった。
1 いいえ、たいていうまく対処した。
0 いいえ、普段通りに対処した。
【7】不幸せな気分なので、眠りにくかった。
3 はい、ほとんどいつもそうだった。
2 はい、時々そうだった。
1 いいえ、あまり度々ではなかった。
0 いいえ、全くそうではなかった。
【8】悲しくなったり、惨めになったりした。
3 はい、たいていそうだった。
2 はい、かなりしばしばそうだった。
1 いいえ、あまり度々ではなかった。
0 いいえ、全くそうではなかった。
【9】不幸せな気分だったので、泣いていた。
3 はい、たいていそうだった。
2 はい、かなりしばしばそうだった。
1 ほんの時々あった。
0 いいえ、全くそうではなかった。
【10】自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた。
3 はい、かなりしばしばそうだった。
2 時々そうだった。
1 めったになかった。
0 全くなかった。
引用:エジンバラ産後うつ病自己評価票より
まとめ
産後クライシスと違い、産後うつの原因はホルモンの影響ではありません。だからこそ、周りの協力や理解によって症状を軽減することは可能。
産後うつの症状が悪化すると、自分が産後うつになったと自覚できないため、周りの人が気づいてあげることが大事。
産後の取り巻く環境がママを孤独にさせていることを理解し、しっかりと産後の休息が取れる状態を作って。もし、様子がおかしいと思った時は、無理をせず専門家に相談を。
今日も最後までおつきあいいただきありがとうございます。